第108回全国高校野球選手権滋賀大会は25日、大津市のマイネットスタジアム皇子山で決勝が行われ、八幡商が初優勝を狙う彦根総合を破り、15年ぶり8度目の甲子園出場を決めた。全国大会は8月5日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕、組み合わせ抽選は1日にオンラインで行われる。

八幡商は四回、辻出の2点本塁打で先制。直後に追いつかれたが、五回に辻出の犠飛や小林の適時打などで3点を勝ち越し、六回にも加点して突き放した。
彦根総合は五回、北山の適時二塁打などで一時同点としたが、3失策に11残塁と攻守に精彩を欠いた。
「泥臭い野球」ここ一番で
選手たちが口をそろえる「泥臭い八商の野球」を体現した2時間12分だった。
2点を先制した直後の五回に追いつかれた。先頭に四球を与え、暴投もあったうえに内野手の失策も絡んで2失点。流れが良くない中でも、エース田上(3年)は「あのときと同じ。また必ず自分たちに流れが来る」。同じく追いつかれながら、勝ちに結びつけた綾羽との準々決勝を思い出していた。
「楽な試合なんてない」。大会中、小川監督は繰り返していた。準々決勝からの3試合は全て、一時はリードしたものの同点とされた。ただ、「そこで攻めの姿勢を崩さないのが強さ」と小川監督。言葉通り、連打に犠打などを絡めてものにしてきた。
接戦の繰り返しが、選手たちの自信となった。この日も、五回に先頭打者が四球を選ぶと、続く中村(2年)が右前打して無死一、三塁。焦った相手の失策に乗じて、犠飛なども含めて3点を勝ち越した。
その攻撃終了後、田上は野手陣を集めて言った。「打ち取る投球に切り替える」。自慢の直球が攻略されているとみると、迷いなく攻め方を変えた。桑原主将が「どこの高校より繰り返してきた」というノックで磨いた堅守を知っているからだ。その後は八回以外、毎回得点圏に走者を背負ったが、変化球中心の投球で要所を締めた。
優勝の瞬間、スタンドで涙して喜ぶOBたちの姿が、伝統を物語っていた。受け継がれてきた守り勝つ野球を武器に「HASSHO」のユニホームが聖地に戻る。(香山優真)
狙い球強振先制アーチ

四回無死一塁。八幡商の辻出(3年)が均衡を破った。「(相手投手は)低めには投げにくい」と走者を背負う状況から高め直球に狙いを絞って振り抜くと、右翼ポール際への先制2ランとなった。準々決勝、準決勝は4番を任されながら計8打数無安打。5番に下がったこの日、「自分のスイングをするだけ」と腹をくくった。
「公式戦での本塁打は初めて」という殊勲の一発に続き、五回には犠飛を運んで中軸の役割を果たした。「思いきりの良いスイングが自慢。甲子園では長打を打つ」。大舞台でも鋭いスイングを発揮するつもりだ。
仲間導き戦い抜いた 彦根総合3年北山駿主将
4点を追う九回一死から内野安打で出塁。次打者も続き、二塁に進んだ。だが、後続を断たれて甲子園には届かなかった。「焦り。決勝戦の重圧にやられた」と唇をかんだ。

「僕にやらせてください」。主将を決める際、自ら名乗り出た。2年生の昨夏も「背番号8」で出場し、試合経験も豊富なことから「自分がやるしかない」と決意。誰よりも声を出してメンバーを引っ張り、チーム初の決勝にたどり着いた。荒井(3年)は「納得のいかないプレーには、コーチが言う前に指摘してくれる」と信頼する。
一回、先頭で三塁打を放ち、次打者の左飛で本塁を狙ったがタッチアウト。波に乗る機会を逸し、「自分が引っ張らなければならない立場なのに、勝たせることができずに申し訳ない」。それでも、五回には適時二塁打を放って反撃ののろしを上げた。
今大会打率3割6分4厘、盗塁も四つ決めた主将のユニホームは、右胸あたりが少し破れていた。決勝まで5試合の激闘を戦ってきた証しが、そこにあった。(武井彩留)