大津市議会は18日、継続審査となっていた市立幼稚園教員の給与を保育士の水準に合わせて引き下げる条例改正案を本会議で否決した。佐藤健司市長は「市議会が責任を持って判断した結果だと受け止めているので、尊重したい」と述べ、今後については「社会情勢の変化を踏まえながら、よりよい就学前教育・保育のあり方を検討したい」とした。(角川哲朗)
市長「判断を尊重」
市は、全国ワーストの待機児童数の改善や幼稚園・保育園間の人材交流を進めるため、今年4月から保育士と幼稚園教員を統合した「教育保育職制度」を導入した。それに先立ち、2月に条例改正案を市教職員組合との労使交渉がまとまらないまま、市議会に提出。3月の市議会で継続審査となり、総務常任委員会が市教組などから意見聴取などをした上で今月15日に委員会採決を行い、総務委では否決されていた。

この日の本会議では議員による討論が行われ、条例改正案に反対する議員からは「就学前教育の将来ビジョンが十分に示されない中で、賃金だけを引き下げるのは極めて乱暴」「教育保育職導入など市の取り組みの方向性自体は一定理解できるが、市民や現場で働く幼稚園教員の理解が十分に得られるとは言えない」といった意見が出された。賛成討論はなかった。
続いて、採決が行われた。本会議には全38議員が出席しており、議長を除く37人のうち賛成6人で、条例改正案は賛成少数で否決された。

採決後に報道陣の取材に応じた佐藤市長は「待機児童対策や(園児数減少が続く)幼稚園の再編計画を進める中で、総合的に判断して提案した」とした上で、「議論の積み重ねの中で賃金の問題だけが焦点となってしまい、我々の説明が十分できていなかったと反省している」と述べた。また、「給料表が変わることだけではなく、園児数減少や再編計画など様々な不安があると思う。現場の皆さんとしっかりと意見交換をしながら進めていきたい」と語った。
市との交渉を続けている市教組の松崎有純書記長は「不安な時間だったが、現場の意見を聞いてもらい、否決となったことに感謝している」と
■「丁寧に話し合いを」
条例改正案を巡る一連の経緯について、京都橘大の青木美智子准教授(幼児教育学)は「制度設計が明確に示されないまま、市が一方的に進めてきたように映るのが現場の混乱を招き、理解を得られなかった大きな原因では」と分析。「地域によって子どもの数など課題は違うので、実情に応じた柔軟な対応が必要。市はもっと丁寧に現場と話し合っていくべきだ」と指摘した。