「関ヶ原で敗れた無念の思いを込めて超辛口の酒をつくりました」。関ヶ原の戦いで西軍を率いた戦国武将・石田三成と居城の佐和山城をイメージした地酒を、彦根市の飲食店「近江や蔵」が開発した。放送中のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では三成が近く登場する予定で、同店の若林政宏さん(64)は「彦根や佐和山城跡が盛り上がるきっかけになれば」と期待を寄せている。(清家俊生)
若林さんは、彦根城にほど近い夢京橋キャッスルロードで同店を運営。約10年前から、まちを盛り上げようと、市内の若手経営者らと三成や彦根駅の北側に位置する佐和山城跡のPRを兼ねた商品開発などを行ってきた。
「豊臣兄弟!」の放映が決まり、秀吉の優秀な家来だった三成にもスポットが当たるだろうと予測。ドラマを見た観光客が長浜城や彦根城だけでなく、佐和山城跡にも訪れてほしいとの思いから酒造りに挑戦した。
小早川秀秋の寝返りに遭い、1600年の関ヶ原の戦いに敗れた三成の心中を表したいと考え、超辛口の日本酒の開発に着手。昨年秋、「萩乃露」で知られる福井弥平商店(高島市)に依頼し、約半年かけて完成させた。同社の福井毅社長(53)は「若林さんの『日本酒で彦根を盛り上げたい』という情熱に応える酒ができた」と話す。
商品名は「敗れて悔し涙を流したであろう」と三成に思いをはせ、「佐和山のしずく」と名付けた。瓶のラベルには、墨絵の三成や佐和山城のほか、旗印「大一大万大吉」のイラストも添えた。若林さんは「近江牛や湖魚とも相性のいい仕上がりになった」と自信を見せる。

完成した酒は、かつて佐和山城の麓にあり、三成ゆかりの神社でもある「千代神社」(彦根市京町)でおはらいをした。同神社の布施博章宮司(51)は「三成公を軸に彦根が盛り上がってほしい」と後押しする。

商品は1本720ミリ・リットルで2470円(税込み)。近江や蔵(同市本町)とワインセラー銀座ヤマガタヤ(同市銀座町)で販売している。売り上げの一部を佐和山城跡の観光振興に活用するといい、若林さんは「今度は三成公が盛り上がり、主人公の映画やドラマができれば」と話している。
